プロジェクトβ
LCJドリームチームは12時間耐久へチャレンジした!!
12人の男達の夏のドラマが始まった・・・(プロジェクトX風に読んで下さい)


H19.7.16ツインリンク茂木にて開催された、アイドラーズ12時間+7分の耐久ゲームに参戦した。
我らLCJ(LANCIA CLUB JAPAN)は耐久向けにベータクーペをリセット。12時間に耐えられる魂を注入したのだ。
耐久はグリッドに整列する数ヶ月前から始まった。先ずは車が完成するかが大きな課題だ。次から次へと立ちはだかる難問。
男達のドラマが始まった。

黒川基地1 黒川基地1
黒川基地1

特にパーツが無いクラシックカーの部類に入るベータを耐久用にチューンするには並々ならぬ努力と
拘りと忍耐力が必要だ。LCJで参戦するんだから、当然、車はランチア。それもTRADMAKESという
クラスに参戦するには、かなり古い車での参戦を余儀なくされる。
その昔、DCにも参戦していたLCJベータ号は、既に一戦を退き、ガレージに眠っていたところを引っ張り出し、
全塗装、エンジン整備等、ゼロからのリセットを慣行したのだった。
写真(上2枚)は、耐久2週間前のLCJベータクーペ号。未だ火は入る状況ではなかった。
その後、黒川じー(大将)、こたちょ、つるちゃんの献身的な努力により、何とか走れる様になる。
写真(下)は黒川から雨の中出発直前のベータ号。この特製カバーは、高速に入って直ぐぶっ飛んだ。
前日に、もてぎ入り。耐久は先ずはピット位置を確保することから始まるのだ。
サーキットホテルで21時には就寝。午前2時起床!(マジ?)3時ホテル出発!!(笑)
自衛隊もビックリのスケジュールだ。綿密な情報収集の結果、何とか、グッドポジションを一番乗りで確保した。
やはり、情報戦略は重要。30分寝坊した某会長は、サーキットホテルからコース迄の大渋滞に捕まることに。
結果、徒歩でのコース入りだった。(笑)
下の写真はピットに車を入れた時。まだ日が昇る前の暗い状態。なんか、コイツ、本物のオーラがあるぜ!
本国のアリタリア航空も会社が傾いているらしいが、遠い東の国で、看板背負って走っている姿をアリタリア社のCEO
に見せてやりたかった。

ピット一番乗り

今回の耐久チャレンジは、13年間のDCの歴史を作ってきた象使いドライバーによるドリームチームによるものだった。
後は、車さへ何とか間に合えばこのツワモノ達は何とかしてくれるはず。
ステージは泣く子も黙る、もてぎのフルコース。一周4.8kmの本格サーキットを果たして全開で12時間走りきることができるのか。
それは、2007年夏のLCJワークスドライバー12人の12時間ドラマだった。

ドラミ参加 清家のおっさん

グリッド グリッド グリッド

先ずは、ドラミ。チーム監督のこたちょとファーストドライバーであるリーだ寺沢会長の2名が参加。
主催の清家さんは、相変わらず今年も元気だった。
そうこうしている内に、8時のスタート時刻が迫っていた。ベータ号は未だにピットでオイルクーラのクランプ
を交換するも、オイルダダ漏れ状態。小便小僧の小便みたいにオイルが噴出しているぞ!(汗)
何とか修理して、30分前にギリギリグリッドへ送り出す。果たしてこの車、走るのか。チームに重い空気が一瞬流れた。
しかし、グリッドに並べると、我らのチームのベータクーペは最高にカッコイイ。グリッドウォークは注目の的だった。

スタート

8時過ぎにはフォーメーションラップからのローリングスタート!
ファーストドライバー(会長)の長年のKKD(経験と勘と度胸)に全てを託した。りー寺氏のミッションはシェイクダウン及びデータ取りだった。
何せ、この車、出来上がってからサーキットを走らせたことが無い。平均Lapも燃費も判らない状態だ。
つまり、1スティントどの位で走らせたらいいのかのストラテジーも立てられない。
車が仕上がったのは前日。試走は前日ローダに運ぶ迄の数10mという厳しい状況だった。
今回の耐久に向けて、私のミッションは戦略担当。各スティントの計画、戦略立案等を任せられていた。
こたちょ(大本)総監督とタッグを組んだ2年前。パンダを見事初参戦、初完走に導いた最強のコンビ。
データさえあれば、12人のドライバーを戦略的に走らせる自信はあった。データさえあればね。
想定タイムは2’35/Lだったが、ファーストLapは3’18掛かっている。
なんかおかしい。ピットに緊張が走った。
兎に角、ストレートが激遅。吹けないのか。以前MGSパンダで走った時のLapより悪かった。これはマズイ。
そんな中、ステディーにリー寺氏は周回を重ねる。何とか走れそうだ。
裏ストレート横の金網によじ登る女性がいた。妻のまりちゃんだった。
「なんか、遅っーい」と呟き、心配そうに見つめていた。
約50分のスティントを終え、リー寺は無事帰還。よくやった!
降りてきた目が潤んでいる。どうした!りーだ。
第一声が「ちょー怖い。どこ行くか判らないし、真っ直ぐ走らない。」だった。
デルタ用のハブ周りを中途半端に流用し、ストローク時の恐ろしいアライメント変化の問題を解決出来ていないクルマなのだ。
コーナリング時の悪挙動は、ある程度予想していたが、4速〜5速で踏んで行く直線でも、勝手に左右に蛇行するという。
こりゃ、大変だ。それを聞いた第二走者の黒川じーの股間は黒く滲んでいた。(ウソ)
取りあえず、給油を行い燃費を計算。思ったより燃費が良すぎる。つーか、踏めていないのは明らか。
給油も無事に終え、黒川じーを送り出した。

ここで、LCJドリームチームのスターティングメンバーを紹介しよう。決めたのはこたちょ総監督の決断。(総監督コメント付き)

1   8:00〜 9:00 りーだ     年功序列! 全開データ出し!!
2   9:00〜10:00 岩瀬監督    データ出し、レブ等 最終決定!
3  10:00〜11:00 鶴ちゃん    元怪我人、、涼しい時間帯に!
4  11:00〜12:00 プリンスピラ  昨年涙を飲んでるんで、早めに!
5  12:00〜13:00 秋田よっちゃん 遠路遥々、気持が垂れないうちに!
6  13:00〜14:00 仔牛      一番暑い時間帯は、やはり若者で!
7  14:00〜15:00 竜ちゃん    汗をかかないサイボーグ的アタック期待!
8  15:00〜16:00 荒井さん    涼しくなってきたし明るいうちに!
9  16:00〜17:00 元ちゃん    そろそろ壊れてくるんでシブトク頼む!
10 17:00〜18:00 舎人あっくん  垂れる時間帯、、燻し銀で宜しく!
11 18:00〜19:00 チャンプ    薄暮&ライトオン、慣れたチャンプに!
12 19:00〜20:00 こたちょ    多分、一番モテギに慣れてんで。

黒川じーも何とかスティントを無事終え、ピットへ戻った。
やはり、直線で車幅1、2台分位フラフラするらしい。とにかく危険な状態。
取りあえず、事故らない様に直線は注意すること。隣に車が居るときはシフトアップしないこと。
直線は4速までで、5速は封印すること等をローカルルールとしてその後のドライバーへ周知した。
そんな中、3rdドライバーの鶴ちゃんはアホの様に踏んでいる。最速Lapを叩き出している。
やはり、切れた人間は凄い。ピットでは、対策会議。4thドライバーに向けて、リアのGTウイングを撤去し、
フロント加重を損なわないように、直進性を保つ案を採用することに決めた。
鶴ちゃんも無事スティントを終え、4thDrのプリンスピラへ襷を預けた。
プリンスの最速Lapは2’51迄タイムアップ。GTウイング撤去は効果があったようだ。
ポジションも80位まで躍進。凄いぜ、ベータ号。
5thDrの秋田よっちゃん、6thDrの仔牛へ順調にルーティーン。
途中、ベータの表情が変。(写真下)ボンネットにクラックが入り、風圧でボンネットが捲れてる。
ガムテープで補修し、事なきを得た。

泣いているのか?

給油ピットイン 給油ピットイン
ベクター教授みたい 給油作業

給油も慣れてきた。みんなキッチリ仕事をしている。完走できるか。
事件は7thDrの竜ちゃんに起こった。給油後、14:08にコースへ送り出したところ、ピットが騒然としていた
サーキットカメラにより映し出される映像。そこには、ベータ号が白煙を出しながら走っていた。
こたちょ監督は叫んだ。「ブローだ!」。
メンバ全員でサーキットモニターに釘付けだった。
「いいから、走るな!停めろ!」監督の声は竜ちゃんには届かなかった。
今回の耐久で一番重要なDrとの通信手段はサインボードしかなかった。
当然、ピットインに向け準備するメンバ。しかし、何を血迷ったのか、竜ちゃんはピットに戻らずもう一周。
タワーからはオレンジボールも出された。
気付いていないのか?サーキットモニターはカメラを切り替えながらベータ号を追っていた。
竜ちゃんは、コース上にオイルを撒き散らしながら、やっと戻ってきた。
煙はエンジンルームからの様だ。マフラーからではない。消火器を構えながら、ボンネットを外すと、
エンジンルームがオイルまみれになっていた。原因は、なんとヘッドカバーのオイルキャップの脱落のようだった。
横置エンジンのベータはフロント側から吸気し、リア側が排気だった。オイルキャップは排気側にある。
キャップが無ければ当然オイルを吹いてEXマニに掛かる。そして凄い煙。そんな感じだった。
キャップが無いのは致命的だ。どうする。
そこで、この日応援団として、ピットに入っていたhappy(鈴木)が元ちゃんに呼ばれた。
「今日はプリズマで来てるか?happyのプリズマからキャップを早く持ってこい!」叫んだ。
happyは駐車場へ急いだ。クルーはエンジンルームの清掃。プラグホールもオイルが溜まっている。
とにかく、火が出ないで良かった。キャップがあればまだ走れるかも。急いで、オイルを補充していると、元ちゃんが、言った。
あった!
エンジンルームに引っかかっているキャップを発見。神は我々を見放してはいなかった。
キャップの止め口を修正し、上からアルミテープで固定して作業終了。竜ちゃんを再度コースへ送り返した。
時計を見ると14:48。およそ40分のタイムロス。ポジションも80位から104位に脱落していた。
でも、みんなは全く諦めていなかった。
その後の竜の走りは切れていた。2’46という有りえない最速Lapタイム。
本人曰く、ゲーム(PS)でしかもてぎは走っていない。
当日も実はコントローラで走っていたと本人談。感情をあまり顔に出さない彼だったが、何か吹っ切れた速さがあった。
少なくとも、耐久の走りでは無かったことを付け加えておこう。
最終的には、通算100Lap目に2’43.807という最速Lapを叩き出し、
15:36には8thDrの荒井さんへ襷を譲った。

覆面男 真剣な仔牛、がんばれ、フリップ

一段落という感じがピットに流れるも束の間、第二の試練が待ち受けていた。4Lap目の15:48頃、サーキットTVに
ベータ号が映し出される。上のヘアピン立ち上がりのコース横の芝生にベータ号は停止している。
緊急時の連絡用に各Drは携帯を常備させていた。荒井さんからの情報では、アクセルワイヤーが切れたとの第一報。
ここは、レスキューを待つしかない。チームメンバはレスキューによる車の到着を待った。

おかえり 何とかなるか

アイドラーズの12時間耐久はレスキューサービスがある。12時間の長丁場。車を直してまた走ればよいという主催者の心意気だった。
この12時間耐久はレースではないのだ。ゲーム。大人が真剣に遊ぶ、夏の大運動会なのだ。
ベータ号を手押しでピットへ戻し、修理開始。見ると、アクセルワイヤーの長さの調整用ナットが緩んで外れただけのようだった。
レスキュー及び修理で時間がかかり、9thDr元ちゃんをコースに送り出したのは17:10。ここでも1時間弱のタイム
ロスだ。シミュレーションをPCですぐさまやり直し、元ちゃんには13Lapを指示。気分はジャントッドだった。

フィナーレへ続く(残り3時間)



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